アオゾラをカナデヨ
「付き合って、ないよ」

「ほんと?でも、仲良いよね?昨日も一緒に帰ってたよね?」

少し声のトーンを上げた香子は、ずっと私の顔をしっかりと見つめていた。

まさか、見られてたなんて。

「確かに、昨日は一緒だったけど。別にどうこうってわけじゃないよ」

「……」

ダメだ、信じてもらえてない。気まずい空気が流れまくっている。

「昨日は……安斉くんが、私と一平が一緒にいるところを吹奏楽の子が見たって言ってて、その話を確かめたかったらしくて一緒に帰っただけだよ」

真っ直ぐな性格の香子には、変に誤魔化さずに伝えた方がいいと思った。へんに想像を膨らまされたら大げさなことになりそうだし。

「……そっか。ユウタくんの方から誘ったのか」

「うん、でも本当に付き合ってないよ。私、今は部活のことで精一杯だし」

これも、事実。

「うん、分かった。でも、好き、なんでしょ?ユウタくんのこと」
< 134 / 191 >

この作品をシェア

pagetop