アオゾラをカナデヨ
「でしょ?一回振られただけで諦めるくらいなら、好きになったりしないよ」

でも……。

少し汗ばんだ手をギュッと握りしめる。

「でも、それで安斉くんが迷惑してるなら、それは違うと思うよ」

一気に早口にまくし立てるように言った私に、彼女は少し驚いた表情を見せた。

そりゃそうだろう。私がそんな反撃を見せるなんてきっと想定外だったに違いない。

「迷惑してる?ユウタくんが?そんなこと言われてないけど?」

ああ、ほら。香子のくすぶっていた心に小さな火をつけてしまった。

「……なら、いいけど」

安斉くんは優しいから、きっと言えないんだよ。さすがにそこまでは言えなかった。

「ソウだって同じでしょ?告白されたわけでもないし、付き合ってもないのに付きまとってるじゃん」

燃えはじめた小さな炎は、だんだんとその勢いを増してきてしまったようだ。

気持ちは分かるけど、私は付きまとってなんかいない。
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