アオゾラをカナデヨ
「いよいよ明日だね」

「うん、だな。調子はどうだ?」

ああ、本当に始まるんだな。

「うん、まあまあかな」

「そっか……なあ、香子にはあれから何も言われてないか?」

やっぱり、気にしてくれてるんだな。ホッコリと胸が暖かくなる。

「うん、何もないよ。安斉くんは?まだ付きまとわれてるの?」

クラスでの様子は私には分からないから、気になっていた。

「ん〜。前よりはマシかな。まあ、普通に話してるだけだよ」

「そっか……」

電話で話していても感じる安斉くんの優しさは、暖かいスープを飲んだ時のように私の全身をリラックスさせる魔法のようだ。

「オレと香子が話してると、誰かさんが焼きもちやくからな」

電話の向こうの笑顔が浮かぶようだ。

「やめてよ、もう」

「さすがの香子も、この時期にはおとなしくしてくれるだろ」

こんな大人な安斉くんも好きだ。

「ふふ、そうだよね。莉子見てたら私たちがピリピリしてるの伝わるだろしうし」

「はは、だな。ソウがピリピリしてるようには見えないけど」

やんちゃな安斉くんもチラリ。

「えー?してないように見せてるんだけど?」

「ほー、なるほど。さすがだな」
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