アオゾラをカナデヨ
こんないつも通りの会話は、ピリピリしている2人の気分を和らげる一番の療法だ。

電話なら、誰にも邪魔される心配もないし、見られることもない。

「緊張、してる?」

安斉くんはいつも落ち着いているように見える。でもそれはそう見せているだけなのかもしれない。

「……いや」

ああ、やっぱり。安斉くんも緊張するんだな。

「その声は緊張してますね……」

「おまえほどじゃねーよ」

照れ隠しの強い口調、こんなところは小学生みたいだ。

「大丈夫、安斉くんなら大丈夫だよ。タイヨウの音だもん」

そっか。安斉くんもきっと不安だから私に電話なんかしてきたんだ。

「うん、ありがとう。ソウも、今日は早く寝ろよ」

私をホッとさせる穏やかな口調。

「うん。安斉くんもね。電話ありがとう、嬉しかったよ」

「おう、じゃあな」
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