アオゾラをカナデヨ
おやすみ、と安斉くんに言ったのは初めてかもしれない。

これからどんな、初めて、が待っているのだろう。

後ろ髪引かれながら電話を切る。

安斉くんが、私に少しだけ弱い部分を見せてくれた。僅かでも彼の力になれたのなら、こんなに嬉しいことはない。

このコンクールが終われば、きっと前へと進める。香子に理解してもらうためにも、全国大会まで進みたい。

その時は、もっと安斉くんの助けになれればいいな。こんな私でも気兼ねなく頼ってほしい、そんな関係になりたい。

『ソウも、早く寝ろよ』

本番前日、いつもは気持ちが高ぶってなかなか寝付けないことが多い。

布団にくるまり、安斉くんの言葉を頭の中に響かせる。

それは、優しく柔らかなタイヨウのような子守唄になり、気がつくと私を夢の中へと誘ってくれていた。
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