アオゾラをカナデヨ
12分間の演奏はあっという間で、舞台袖へと下がると、一気に緊張感がとける。

とりあえず、大きなミスなく演奏できたことに安堵する。

この地区予選を勝ち抜かないことには、全国大会への道は開けない。

安心感に浸る暇もなく一旦外に出て、記念撮影をすませる。

仕事で来ることができなかったお母さんの代わりに、一平が撮影してくれているのが見えた。

麻美やフルートパートのみんなと盛り上がっていると、一平が笑顔で近寄って来た。

「ソウ!」

「一平!来てくれてありがとうね」

「うん。演奏、よかったよ。ソロ、よく響いてた」

もう何度も私たちの演奏を聴いてくれている一平。吹奏楽のことは分からないけれど、いつも素直な感想を言ってくれる。

「うん、ありがとう」

「ちょっと緊張してたか?」

ああ、やっぱりお見通しだ。

「まあ、地区予選が一番緊張するよ」
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