アオゾラをカナデヨ
「はーい、静かにぃ!今日は新しい仲間を紹介するぞ」

部員より遅れて小ホールに入って来た小沢先生が声を張ると、音出しでうるさかったホールが一瞬にして静まり返る。

私はこの瞬間が好きだ。耳にはまだ、私の音やみんなの音が残るこの感じが。

「転校生?」
「え?吹奏楽部なんだ」

一気に周りがざわめき立ち、楽器を置く音がパラパラと聞こえる。

そういえば3組に転校生が来たって言ってたっけ……そうか、吹奏楽部だったんだ。

みんなが入り口のドアに集中する。

小沢先生に促され入り口から入って来たのは、トランペットらしい楽器ケースを持った男子生徒だった。

「あっ!」

その姿を見た私と実梨は同時に声をあげる。

春休みに駅のホームで私をチビと言った、あの空色パーカーの男子だった。背の高さ、イケメン……間違いない。
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