アオゾラをカナデヨ
南公園は家から自転車で5分ほどの距離にある、小さい頃はよく遊んだ公園だ。

私に出しゃばらないでと言い放った後も、香子は変わらず安斉くんに近寄っていた。それは気にしないようにしてきたつもりだ。

幸い2人とはクラスが違うので一緒にいるところを目撃することはあまりなかったけれど。

練習で手一杯だったのも救いになっていた。

香子は、何を考えているのだろう。

公園は背の高い樹木で仕切られた二つの広場があって、右の広場には遊具があり左の方には何もない。

私は迷わず左の広場へと向かう。

まだ昼下がり、右の広場は子供たちで賑わっているだろうから、きっと香子は左の何もない広場で待っているだろう。

焦ってペダルを漕いだからか、ジリジリと焼けるような太陽のせいか、薄っすらと汗をかいていた。

案の定、香子は木の影になっているベンチに座って私を待っていた。

自転車を停め、深く深呼吸。
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