アオゾラをカナデヨ
キャッチボールをしている親子の邪魔にならないように広場を横切り、香子の待つ木陰へ。

私に気づいた香子は立ち上がり、私を待っている。その表情は少し微笑んでいるように見える。

「ごめん、お待たせ」

急いで来たのだから、それほど待たせていないことは分かっていた。

「ううん。急に呼び出してごめんね」

構えているのは私だけ?香子の声色も表情も、前に呼び出された時とは全く違い穏やかなものだった。

何かあった?ただの心境の変化?

とにかく話を聞いてみないことには分からない


ベンチに座った香子の隣に座る。

日向の日差しはまだ夏の強さを見せているが、一歩木陰へと入ると秋へと変化していく季節を感じる。

「この前はごめんね、言いすぎた」

顔の前で拝むような仕草をして謝る香子。

「ううん、こっちこそ」

「ソウが言ったことが正論だって分かってたからさ、私もなんだかムキになっちゃった」

やっぱり、そうか。

私は何だか香子の気持ちを近くに感じ、彼女の顔をみて微笑んだ。
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