アオゾラをカナデヨ
「えっ⁈」

私はその時初めて、香子が「ユウタくん」ではなく「安斉くん」と呼んでいることに気づいた。

諦める?なんで?

私の顔にたくさん浮かんでいる疑問符に香子は自虐的に微笑んだ。

「今更、だよね」

「……」

どうしたの?安斉くんに何か言われたの?
一瞬、空を仰いで眩しそうに目を細めた香子。

「昨日、安斉くんに呼び出されて話したんだ」

え?安斉くんに?

「そうなの?」

聞きたい、何を話したのだろう。

「うん。案の定、オレはソウが好きだって言われちゃった」

ソウが、好き……。

自分がフラれた話をしているのにその表情は清々しく見える。本当に諦めたのだろうか。

「……うん」

「本当はもっと早くハッキリ言うべきだったけど、ソウが私を大切な友達だって言ってるし、オレにとっても大事なクラスメイトの1人だから。なかなか言えなくてごめんって。逆に謝られちゃった」

「……」
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