アオゾラをカナデヨ
安斉くん……。

「もう、なんなの、2人とも。優しすぎない?私、けっこう酷いこと言ったし、やったよ?」

そう言って、また自虐的に笑う。

ああ本当に、いい子だな。

「あはは、もういいよ」

香子も、私たちと同じように苦しい気持ちになっていたんだ。ちゃんと、私たちのことも考えてくれていた。

「安斉くんさ、中学の時からの片思いの子がいるって言ってたでしょ?」

そう、それ。私が心を決められない原因のひとつは、それだ。

「うん……その子を諦めたってこと?」

それしか考えられないよね。

「ふふ……そうじゃないみたいだよ」

「え?どういう意味?」

まさか、二股……?いや、まさかね。

「それはさ、ちゃんと安斉くんの口から聞いた方がいいと思うよ」

思わせぶりな言い方。

「え?」

「明日の本番終わったら、ソウにもちゃんと話すって言ってたよ。私も、その安斉くんの話し聞いたらさ、なんか、もうソウには敵わないなって思った」

「え?うん……」

本番が、終わったら……。

「受け止めてあげてね。安斉くんの気持ち。じゃないと、私も諦め切れないよ」

これが、今の香子の本当の気持ち。そして願い。
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