アオゾラをカナデヨ
「うん」

私の力強い返事に、安心したように笑う香子。
香子のこんなに素直な笑顔は久しぶりに見た気がする。

「私に遠慮なんかしないでね。諦めたら、また次の恋探すだけだから」

いつもの奔放な彼女らしい発言に、少しホッとする。

でも、分かってる。香子にとって安斉くんへの気持ちは特別だったってことくらい。それを諦めることは、彼女にはとても辛いことだって。

香子のためにも真剣に向き合おう、この恋に……安斉くんに。

「さぁ、とにかく、明日の本番頑張ってね」

分かりやすくガッツポーズを作ってみせる香子。

「あはは、うん。ありがとう」

あとは、後悔のないようにやり切るだけだ。香子の気持ちも無駄にしないように。

「応援、行くからね」

「うん、よろしく」

「明日は安斉くんとは喋らないから安心して」

ニヤリとイタズラに笑う香子。

「え?別に話くらいしたらいいじゃん」

もう、それくらいのことは気にしないよ。

「うん、気持ちの整理がついたらまた仲良くできると思うよ。ソウがヤキモチ妬かない程度にね」

いつもの香子だ。きっとすぐに何もなかったかのように、私とも安斉くんとも仲良くするのだろう。彼女らしく。
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