アオゾラをカナデヨ
「さ、帰ろうか。呼び出してごめんね。本番前に話しておきたくて」

「うん、ありがとうね」

そんな彼女の、優しさも嬉しかった。これで、香子とのモヤモヤはスッキリと解消された。

「じゃ、また明日ね」

爽やかな笑顔で、香子は手を振って公園を後にした。

そんな後ろ姿を見送ってから、私も家路につく。

呼び出されて自転車にまたがってから、まだ1時間も経っていない。

それなのに、同じ道中なのに。こんなにも行きと帰りで自分の気持ちが違うなんて、驚きだ。

ギラギラした太陽が肌に痛い。無限に広がる青空も、色を変えたかのように明るい青に映る。

不安を抱えながらこの道を走っていた私に教えたい。何も心配することなんてないよ。やっぱり香子は私や安斉くんが感じていた通り、優しくていい子だったよ。

ありがとう、香子。

これで、私も最後の一歩が踏み出せる。

コンクールの結果がどうであれ、この想いを伝えるだけだ。
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