アオゾラをカナデヨ
ーートントン

半開きになっていたドアを叩く音に、心臓が跳ね上がる。

ピッコロを手にしたまま振り向くと、ドアに片手をついて中を覗く安斉くんの姿。

「おはよう、早いな」

開けられた窓から差し込む日差しが当たり、まさにタイヨウのようだ。

ドキドキする鼓動を抑えながら、私も笑顔を見せる。

「おはよう。なんか落ち着かなくて」

「そうじゃないかと思ってさ、オレも少し早く出てきた」

さっきまで1人だった寂しい湿った部屋が、瞬時に明るく爽やかな部屋となる。恋の、魔法のように。

「……緊張してんのか?」
「……」

冷たくなった指先。安斉くんには隠せない。

「大丈夫だよ、ソウ」

そう言って頭を撫でてくれる大きな手は、いつものように暖かく。私の気持ちを落ち着かせる。

私の手からピッコロを優しく外しテーブルの上に置く。

そして、もっと優しく私の手を取り、暖かな両手で包み込んでくれる。

フワリ、と体が浮くような感覚。
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