アオゾラをカナデヨ
気持ちよく吹いているのを邪魔しちゃ悪いと思い、そっと部室の窓から様子を見る。

安斉くん⁈

トランペットの音色の持ち主は安斉くんだった。だった1人椅子に座り、胸を張ってトランペットを掲げている。

よりによって安斉くんだなんて。このまま帰ろうかな、でも楽器持って帰りたいし。

廊下でなす術なく立ちつくしていると、安斉くんがふうっと息をついてトランペットをおろした瞬間、窓越しに目が合ってしまった。

「あれ?ソウ!どうした?」

立ち上がりトランペットを持ったままドアの方へと近づいてくるくる安斉くん。

ソウ……名前覚えてくれたんだ。

仕方がないので安斉くんが開けてくれたドアから部屋に入る。

「ピッコロ、持って帰ろうと思って。ごめんね邪魔しちゃったね」

自然に、自然に。

やっぱりイケメンだな。

私はどうもイケメンが苦手だ。
そんなキラキラした目で見られると恥ずかしくなってしまう。

なんだかドキドキしてきた。安斉くんは、私をチビ呼ばわりした意地悪な男子なのに。
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