アオゾラをカナデヨ
「えっ?マジ?嬉しいな」

私の言葉に照れて微笑んだ安斉くんの顔に、夕陽が当たる。


その爽やかな笑顔を見た瞬間、思い出した。


ーーこの音、この笑顔ーー


中3の冬『マーチングバンド全国大会』

自分の出番が終わり、ホッとした心持ちで他の学校の演技を見学していた。

どの学校も全国大会の常連とあって素晴らしく、心奪われる。

中でも、トランペットのソロを吹いた背の高い男子。全国大会という大きなプレッシャーの中でのあの澄んだ音、そして吹き終わった後の清々しい笑顔がとても印象に残った。

それが、安斉くんだった。

この笑顔、あの音色。間違いない。

そうか……だからどこかで会った気がしてたんだ。

「どうした?帰らないのか?」

トランペットの入っている楽器ケースを持ちながら、ボーっとしてる私に安斉くんが言う。

「あ、うん」

慌ててカバンとピッコロを手に取り後を追う。
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