アオゾラをカナデヨ
自然と一緒に帰ることになってしまい動揺を隠しながら安斉くんの隣を歩く。

安斉くんは、あの時の私のこと覚えてるわけないよね。もう2年以上前のことだし、私の学校の演奏を彼が見ていたかどうかすら定かではない。

「おまえ、本当に小さいな!」

私の歩幅に合わせ、歩く速度を落としてくれながら安斉くんが言う。
そりゃ、残念ながらコンパスが違いますからね。

「どうせ、チビですよ!」

膨れた私に「あはは!」と見せる笑顔。トランペットと同じ、タイヨウのよう。

「チビって言って悪かったよ、怒ってんの?」

えっ?

「いや、別に怒ってはないけど」

そりゃ、気にしてはいますけどね。背が低いのはコンプレックスだし。でも怒ってはいません。

不意な質問にドギマギしてしまう。悪かったよって、それでも謝ってるつもりなのかな?

もう、イヤな奴なのか優しいのか分からないよ。
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