アオゾラをカナデヨ
「あ、ねぇ莉子、あの転校生の安斉くんてどんな感じ?」

ドキッ!

麻美が急に安斉くんの話題を振るから焦ってしまう。莉子は安斉くんと同じパートだから一緒にいることも多いんだ。

「んー、ひと言で言ったら、小5男子」

「ぷっ!なにそれー」

「ヤンチャでね、いとこの小学生と話してるみたいだよ」

へぇ……まあ、ヤンチャなのは分かるけど、この前話した時にはそこまで感じなかったけどな。

偶然安斉くんと帰りが一緒になった日の会話を思い出す。

「あはは!小5!」

「でも、トランペットの腕はピカイチだね」

デザートのプリンを開けながら何故かドヤ顔で莉子が言う。

うんうん、確かにそうだね。

「ふーん。莉子、オーディションヤバいんじゃないの?」

私は胸のドキドキがバレないように、明るく茶化すけど、頭の中には安斉くんのトランペットの音が響き渡っている。
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