アオゾラをカナデヨ
「あはは!そうか、だからか」
「やっぱ小5〜!」

そんなみんなとの何気ない会話が、わたしをいちいちドキドキさせる。
みんなにとっては、ただの珍しい転校生の話題でしかない。

安斉くんが私の名前を聞いてくれた、電車でのことがあったから?

「でもよく覚えてたね、安斉くん」

麻美の言葉にみんながうなづく。

「まあ、チビだからね」

なんでもいいけど、私のことを気にしてくれてた、それは素直に嬉しい。

「あはは、自分で言う?」
「どんだけ印象深いチビなわけ?」

笑い合うこの気の知れた仲間に、に安斉くんのことが気になる、なんてまだ言えない。
そんなこと言えるほど、自分の気持ちも理解していないし、自信もない。

恋って、いちいち小さいことが嬉しくて、胸の奥がチクチクするんだな。

私も、胸を張って安斉くんが好きと言える時がくるのかな。
< 38 / 191 >

この作品をシェア

pagetop