アオゾラをカナデヨ


「ソウ!」

練習の帰り道、同じ電車だったのか一平が大きな声を出しながら駆け寄ってきた。

「あれ?今帰り?雨の中練習してたの?」

「まさか!午前中で終わったから、純夏とお茶してた」

「ああ、そう。ふーん」

どうりで、ちゃんと制服に着替えてるし、ご機嫌なワケだ。いつもは練習着のまま帰って来て、制服がぐしゃぐしゃにカバンの中に詰め込まれてる、と一平のお母さんがため息をついていたのを聞いたことがある。

純夏(スミカ)ちゃんは一平の彼女、同じ陸上部の同級生だ。

「おまえも早く、お茶できる相手見つけろよ!」

「余計なお世話!……一平がお茶ね、ふふ」

「なんだよー!」

私、一平とお茶なんてしたことあったかな。

一平は、どうやって純夏ちゃんとの恋が進展したのだろう。一平から告白したとは聞いたが、そんな勇気があったなんて。

グチグチしている私とは大違いだな。
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