アオゾラをカナデヨ
そこには痛そうに顔を歪めうずくまる一平の姿があった。

「一平っ!大丈夫?」

「ああ、ちょっと腕打っただけ。ソウは?大丈夫か?」

私の顔を、笑顔を作って見つめる一平。

「私は……大丈夫」

私の心配なんてーー。

雨なのか涙なのか、もう分からないくらいグチャグチャだった。

私はこんな時でも、痛そうな一平の肩をさすりながら傘を差し伸べることくらいしかできなかった。

一平が、私を助けてくれたんだ。

私を助けて、一平は……。

「救急車来たぞ」

誰かが呼んでくれた救急車が到着し、一平と一緒に乗り込む。

病院までの時間、早いはずなのに長く感じる。窓にはカーテンがひかれているので、どこを走っているのかも分からない。

サイレンの音が頭に大きくズンズンと響く。

早く病院に着いてーー。
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