アオゾラをカナデヨ
それからお母さんは暖かいミルクティを買って来てくれた。震える心と身体に優しい甘さが沁み渡る。

「一平が、私を助けてくれた」

少しずつ落ち着いてきた私はお母さんに事故の状況を話し始めた。

「私、ビックリして怖くて立てなくて……女の人が手を貸してくれて」

「そう」

お母さんはやっと涙の止まった私を包み込むように話を聞いてくれた。自分が少しずつ冷静さを取り戻して行くのが分かる。

ちょうど話しが終わる頃、治療室のドアが開いておばちゃんが出てきた。

「一平は?」

思わず立ち上がっていた。

「腕にヒビが入ってるだけだって、頭も念のため検査したけど大丈夫だって。ソウちゃんのこと呼んでるわよ」

そう言って私にニコッと笑顔を見せてくれた。

「……よかった」

全身に入っていた力が抜けていくのを感じる。
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