アオゾラをカナデヨ
そっと治療室のドアを開けて中に入ると、一平は腕にギプスを巻いてベッドに座っていた。
病院独特の消毒の匂いが鼻につく。

「ソウ!大丈夫か?」

それ、私のセリフなんだけどな。

「うん、擦りむいただけ……」

私のことなんかどうでもいいのに。

「そうか、よかった」

「ありがとうね、一平。大会、出られないね……ごめんね」

また溢れてくる涙を手で拭う。

「いや、ソウがぶつからなくてよかったよ。足は大丈夫だから、大会出られるんじゃねーかな?」

こんな時こそ私の頭を撫でて冗談を言ってくれる。

「え?やめときなよ」

そんな一平の笑顔を見て私はやっと安心できた。

「あはは、もう泣くな。ブサイクだぞ」

泣き腫らした私の顔を覗き込む。私の泣き顔なんて見慣れてるはずなのに。

「もー!」

「はは、ごめんごめん」
< 47 / 191 >

この作品をシェア

pagetop