アオゾラをカナデヨ
「一平は?もう帰れるの?」

外はもう陽が落ちて暗くなっている。

「いや、オレは念のため1泊しろって言われたから、ソウはお母さんと帰れよ。だいぶ濡れたから風邪ひくぞ」

「そっか。うん、ありがとう。また連絡してね」

「おう!」

一平の優しさは小さい頃から変わらない。私はいつも助けられてばかりだ。

お母さんと一緒に病院を出る。

「いっちゃんも、随分たくましくなったわね」
「え?……うん」

「小さい頃は、転んでもすぐ泣いてたのに」
「そうだね」

そうだ。確かに一平は小さい頃は泣き虫だった。誰かとケンカをした時、転んで痛い時、私はいつも慰めていた。

いつから泣かないようになったのかな。いつから、そんなに強くなったのかな。

私はいつまでも弱いまんまで、ごめんね。
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