アオゾラをカナデヨ
お母さんと一緒にタクシーに乗り家路につく。
救急車で通って来た道のりだろうけど、帰りは随分近く感じる。

タクシーの窓についた雨粒が、外の灯りをキラキラと輝かせている。今の私には眩しすぎて思わず目を閉じた。

家に着き、熱いお風呂に入って冷えた体を温めるとやっと少し落ち着いてきた。

でも、ベッドに入ってもなかなか寝付けない。気持ちが高ぶることがあるとなかなか寝付けなかったり、早く目が覚めてしまうのだ。

安斉くんのタイヨウのような笑顔を思い出したいのに、一平が自転車にぶつかり飛ばされる画像が頭から離れてくれない。

それを振り払うように頭を振ると、その動きに合わせてズキズキと痛む。

窓の外からはまだ雨の音が聞こえる。布団を頭から被っているのに、まるで頭の中にまで雨が
降っているかのように響く。

よく降るなーー

より一層、雨がキライになった。
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