アオゾラをカナデヨ
1人で乗り込んだ春休みの電車は、思ったより混み合っていた。
そりゃそうか、休みなのは学生だけ。仕事には春休みなんてないんだろう。車外の爽やかな空気は何処へやら。車内は少しムッとする熱気すら感じる。
「おはよう」
いつも通り途中の駅から乗ってきたのは同じ吹奏楽部、クラリネット担当の宮嶋実梨(ミヤジマ ミノリ)だ。
「おはよう、実梨」
私は私立高校の強豪吹奏楽部に所属し、フルートとピッコロを担当している。春休みとはいえ、毎日練習漬けの日々だ。デートなんてしている暇なんてない……まあ、そんな相手もいないけど。
「あ、そうだ。今日自由曲の譜面配られるってさ」
夏にある吹奏楽コンクールの自由曲をそろそろ考えている、そんな話を聞いていた。
「うん、聞いた。最後のコンクールだもんね……」
青空に浮かぶ、小さな雲を見上げながら呟く。
「うん。」
実梨も同じ場所を見つめていた。
4月から高校3年生になる私たちにとっては、もう全てが「高校生活最後」になってしまうんだ。
そりゃそうか、休みなのは学生だけ。仕事には春休みなんてないんだろう。車外の爽やかな空気は何処へやら。車内は少しムッとする熱気すら感じる。
「おはよう」
いつも通り途中の駅から乗ってきたのは同じ吹奏楽部、クラリネット担当の宮嶋実梨(ミヤジマ ミノリ)だ。
「おはよう、実梨」
私は私立高校の強豪吹奏楽部に所属し、フルートとピッコロを担当している。春休みとはいえ、毎日練習漬けの日々だ。デートなんてしている暇なんてない……まあ、そんな相手もいないけど。
「あ、そうだ。今日自由曲の譜面配られるってさ」
夏にある吹奏楽コンクールの自由曲をそろそろ考えている、そんな話を聞いていた。
「うん、聞いた。最後のコンクールだもんね……」
青空に浮かぶ、小さな雲を見上げながら呟く。
「うん。」
実梨も同じ場所を見つめていた。
4月から高校3年生になる私たちにとっては、もう全てが「高校生活最後」になってしまうんだ。