アオゾラをカナデヨ
突然ガラッとドアの開いた音にビックリして振り向くと、入って来たのは安斉くんだった。

ーードキッ!

「あれ?ソウ、いたのか。風邪だって?もう大丈夫なのか?」

棚から楽器ケースを取り出して机に置きながら安斉くんが言う。

なんで?なんで安斉くんがここに来るの?

「あ、うん。ごめんね休んで」

「ん?いや、麻美が頑張ってたよ」
「うん」

そうだよね、私が気にするほど、みんなが迷惑したわけじゃないんだな。

「チビでも風邪引くんだな」

ほらきた、チビ発言。もうさすがに慣れたけど。

「は?関係ないし」

私の返しも上手くなってきた。

一緒に演奏したかったな……。初めての安斉くんとの演奏会、楽しみだったのに。

安斉くんは、どんな音を出したんだろう。どんな表情で演奏したんだろう。
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