アオゾラをカナデヨ
「どうだった?コンサート」

この鼓動の音を隠すように、沈んでいる気持ちを振り払うように明るい声を出す。

「ん?まあまあ、かな。小沢先生は納得してなかったみたいだけど」

「ん〜相変わらず厳しいな」

「ま、オレは完璧だったけどな」

ニヤリと見せるドヤ顔。

「ああ、はいはい」

こいつは調子に乗せたらダメだ。こういう所が子どもっぽいと言われるんだろうな。

「ね、安斉くんなんか吹いてよ」
「えっ?」

安斉くんの楽器ケースはまだ閉じたままだ。
あの、澄んだ音色を聞いたら私の心にも青空が広がるかもしれない。

「安斉くんも練習しに来たんでしょ?」

「ああ、まあそうだけど」

照れながらも丁寧にトランペットを取り出す。その長い指に私は釘付けだ。

安斉くんは、いつものように大きく息を吸い込み吹き始める。
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