アオゾラをカナデヨ
「……っごめん」

「やっぱり、何かあったのか?」

心配そうな、困ったような顔を見せる安斉くん。やめて、そんな優しくされたらますます涙が溢れてくる。

「……ひっく……」

首を横に振ることしかできない私に、戸惑いながらも大きな手で私の頭を優しくなでてくれる。

澄んだトランペットの音と優しく低い声、暖かい手がどんどん私の固まっていた心と体を溶かしていく。

やっぱり、特別だ。

キミのその音色と笑顔は、私にとってタイヨウなんだ。

「……大丈夫っ、安斉くんのトランペット聴いて……ちょっと元気になった」

ほら、キミの前では素直になれる。素直に、泣ける。

「そうか?それならよかった」

いつもはヤンチャな安斉くんが、こんなにも優しい音を出し、私を癒してくれるなんて。

泣いている理由も聞いてこないなんて、小学生なんかじゃないよ。
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