アオゾラをカナデヨ
高校のある駅に着くと、たくさんの人が降りようとしていた。大きな駅ではないのに利用客は多い方だと思う。

必死に実梨の後について行く。

こんな時、自分のことしか考えてあない人が多い。早く降りたい、降りなくちゃ。

私は人混みが苦手だ。背が低いからか、人混みに紛れるといろんな物を見失ないそうになるから。

「あっ!」

やっとホームへと足を伸ばすと、何かにつまずいてよろめいた。

やばい!転ぶ!

当然つかまるものなんてなく、なすすべもなくスローモーションのようにホームのコンクリートが近づいてきたその時……。

ーーガシッ!!

たくましい手が私の腕をつかみ、倒れかけた私の体勢を立て直してくれた。

「あっぶね!」

咄嗟に声と手の主を見上げると、そこには空色のパーカーを着た背の高い同い年くらいの男子が私を見つめて立っていた。
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