アオゾラをカナデヨ
「そういえばさ、香子(かこ)はどうなったの?」

一緒に数学を解いていた実梨が、問題集から目を離して聞く。きっと私と同じ、飽きてきたのだろう。

「ん?いや、何も進展なし」

莉子が教科書から目を離して答える。香子は莉子の双子の姉、同じ高校のバレー部に所属している。

こんなんだから、勉強が進まないんだよな。

「えっ香子?何?」

何?香子がどうかしたの?

「あ、ソウは風邪で休でた時か。香子、安斉くんが好きなんだって」

えっ……香子が安斉くんを?

ちょっとまってよ、聞いてないよ。

「そうか、安斉くんか!」

精一杯、動揺を隠して何もないように答える。

「うん。そうなんだって。あいつ、ああ見えて結構優しいらしいよ」

うん、知ってる……。

「へえ。そっか。香子と安斉くん、同じクラスだっけ?」

「うん、そう。運動神経もいいしなんか、かっこいいなぁって。部活でのこと色々聞かれてさ、ちょっと面倒くさい」

うん、確かにかっこいいよね……。
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