アオゾラをカナデヨ
「だから、この記号はフォルテシモだってば。この前も教えたじゃん」

「ああ、そうだそうだ。忘れてた」

相変わらず汚い字でノートにフォルテシモと何度か書く一平。
またどうせすぐに忘れるんだろう。音楽に親しみのない人にとっては、記号に触れる機会も少ないのだから無理もないけど。

私たちのやりとりを純夏ちゃんは楽しそうに見ている。

「ほんと、兄弟みたいだね」

「あはは、そうかもね」

なんて、簡単に答えてしまったけど、どうなんだろう?純夏ちゃんは私のことをどんな風に思っているんだろう?

「ね、純夏ちゃん。ちょっと聞いてもいい?」

「ん?なに?」

この子なら、聞ける。そう思った。

「あのさ。私がこんな風に一平と仲良く?してるのって、気になったりしない?」

「え?」

一瞬驚いたような表情を見せる純夏ちゃん。そりゃそうだろう、こんなストレートに聞かれたんじゃ答えに困るよね。
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