アオゾラをカナデヨ
駅が近づくと、人通りも増えてくる

「ソウは、明日も部室行くのか?」

「え?うん、たぶん」

なんでそんなこと聞くの?

「じゃあ、オレも行こっかな……」

安斉くんが香子を通り越して私の目をまっすぐ見つめて言った。

えっ⁈ ちょっと待って、なに?

心臓がトクンと大きな音を立てる。

「あ、うん……結構みんな来てるよ!」

「……うん、そうだな」

なんで? なんで今そんなこと言うの?

香子の視線を痛いほど感じるが、気づかないフリをするしかない。

私が行くなら、自分も部室に行く……そういうこと?香子は気づいただろうか。

「ちょっと!部室じゃなくてクラスでいいじゃん、数学教えてよ」

みたいなことを香子がまくし立てているが、耳に入ってこない。

「吹奏楽のヤツらの方が、勉強できんだよ!」

なんて安斉くんも声を大きくしている。

香子の気持ちに気づいてる?だから、わざとそんなこと言ったの?

グルグル、グルグル。頭の中にいろんな考えが巡る。
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