アオゾラをカナデヨ
「大丈夫? ちょっと男前だったね〜」

ボーっと人波途切れたホームに立ち尽くす私に実梨はにやけ顏で覗き込んできた。
いやいや、男前だわ〜のボーっとじゃないからね。

「うん、確かに。でもチビって言った!」

「あはは!チビじゃん、ソウ」

「もー!確かに小さいけど、チビって!小学生か!」

でも、どこかで会ったような……。うーん、どこでだっけな、思い出せない。

「あはは、ほら遅れるよ、ソウ」
「あ、うん」

気のせいかなーー。

彼の記憶を辿るヒマもなく先に歩き出した実梨の隣りへ、早足で付いて行く。

春を迎え始めている外の空気は、やっぱり少し乾いていて爽やかだった。

「どんな曲かな、難しいかな」
「んー……どうだろう?」

走り出した電車の窓から、空色パーカーの彼がじっと私を見つめていたのにも気づかずにーー。
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