アオゾラをカナデヨ
「あーもう。勉強なんかしないで演奏したい！」

なんて心の叫びを口にしながら背伸びをして上を向いた私の視界に、フッと安斉くんの顔が現れて心臓が飛び出しそうになる。

「びっくりした！なに？」

体制を戻して振り返る。

「オレも、演奏したーい」

私の心の叫びを真似してからかう。

「もー！なに？」

もう、心臓が持たないよ。

「ソウ、ちょっと教えて」
「え？ああ、うん」

なんだ、分からないところを聞きにきたのか。もっと普通に言えないかな。ドギマギしているのは私の都合なのだけど。

「なに？数学は無理だよ」
「分かってるよ。いいから、来て」

制服の袖を掴まれて、安斉くんの座っていた席に連れていかれる。

「はい、ここ座って」

「ああ、うん」

言われるがまま、安斉くんの持ってきた椅子に座る。
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