アオゾラをカナデヨ
♫

「さ、次のコンクールの自由曲決めたぞ」

そう言って眠たそうに髪を触りながら顧問の小沢先生が部室へと入ってくる。

各パートごとの譜面をリーダーが受け取り配り始めた。一気に周りがザワザワと騒がしくなる。

私はフルートとピッコロ、両方の譜面を受け取りすぐに題名に目をやる。

ーーレ ミゼラブル……？

私が中学時代、一度だけマーチングの全国大会に出場した時の思い出の曲。ピッコロのソロがある曲だ。

スケールが大きい、大好きな曲。

「これって、ソウの中学のマーチングの曲だっけ？」

隣に座る実梨が囁いてくる。

「うん」

マーチングのような移動しながらのショー的な演奏も好きだけれど、この曲を私たちが演奏し、ホールに響かせると想像するだけで胸が高まる。

私にとって、思い入れのある曲だ。

またソロ吹きたいなーー。
< 9 / 191 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop