アオゾラをカナデヨ
「ほら!フルートピッコロ!メロディじゃないからって気抜くな!」

「はいっ!」

気を抜いているわけじゃない。長い時間の練習で、みんなの腕も指も、もう限界なんだ。
酸欠になりそうなほど、息を吹いている。
そりゃ、肺活量も増えるわけだ。

「そこ、フルートピッコロだけ、もう一度……さん、に!」

〜〜♪〜♪

つりそうな腕と指を精一杯動かす。

まだオーディションも終わっていないのに、気合い入りすぎだよ、先生。

隣の後輩の指が震えているのが分かる。

「はい、じゃあ今日は終了。お疲れさん」

「はいっ!ありがとうございました」

最後はシャキッと背中を伸ばして挨拶をする。

ガラッと、先生が部室を出て行った瞬間に体の力が抜ける。

「ふぁ〜〜、もう腕が動かない〜」

隣の麻美がそう言いながらフルートを置く。

「キツかったね、今日」

私もそう言いながらピッコロをしまう。
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