アオゾラをカナデヨ
「へぇ!」

ああ、どうしよう……知らないふりをしてしまった。

「もしかしたら会場で会ってたかもね!」

「トイレとか?」

嬉しそうに、そんな偶然を喜ぶ3人。

「あはは!トイレって!」

そりゃ、嬉しいよ。
好きな人とのそんな偶然、嬉しくないわけがない。

「あ、私帰ったらDVD見てみよう」

莉子がからかうように安斉くんを見る。

「え、やめろよ恥ずかしい」

「安斉くん、ソロやったんだって」

「そうなの?じゃあ、私も見てみよう」

知ってるよ。あんなにかっこいい姿、忘れるわけないじゃん。


「安斉〜!帰るぞ」

「おう、じゃな」

「あ、うん。バイバイ!」

安斉くんは手を振って友だちと帰って行く。
その大きな背中を見つめながら私は、複雑な気持ちになっていた。

ごめんね、安斉くん。
私は覚えてるよ、あの清々しい笑顔。

「さ、私たちも帰ろう」

「ああ、うん」

私も莉子と麻美と、一瞬に歩き出す。
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