アオゾラをカナデヨ


例年より少し早く梅雨入りが発表された今日、いよいよオーディションが行われる。

外は梅雨らしくどんより曇り空、緊張感漂う部室は少し肌寒いくらいだ。

「あ、ソウいいの持ってるじゃん」

「あ、いいよ、使って〜」

緊張と冷え性で手が冷たくなり、指が動きにくくなってしまうので冬の残りのカイロを持ってきていた。

みんなそれぞれ楽器の調整をしたり、音出しをしたり部屋に張り出されているオーディションの順番を確認していたりした。

自由曲の「レ ミゼラブル」は私にとって特別な曲だから、どうしてもピッコロで出場したかった。

私にとっては最後のコンクール。でも出場したい気持ちはみんな同じだ。

できることなら、全員で同じ舞台に立ちたい気持ちはあるけれど仕方がない。
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