アオゾラをカナデヨ
ソワソワしている待ち時間は長く感じる。

「そろそろ行って来ます〜」
「ソウ頑張れ!」

麻美と実梨に見送られ部室を出て、下の階にある音楽室で行われているオーディション会場へと向かう。

静かな廊下が緊張感を高める。

あ、カイロ返ってこなかったな……まいいか。

はぁっとピッコロを持つ手をかえながら指を息で温める。

大丈夫かな、指動くかな。

階段の手前まで来ると、登ってくる安斉くんと鉢合わせした。

「ソウ!今から?」

ーードキッ!

「うん、安斉くんは終わったとこ?どうだった?」

「うん、失敗はしなかったよ」

「そっか、よかった」

相変わらずだな。緊張してないわけないのに、なんでこんなに余裕があるんだろう。カイロまで用意していた私とは大違いだ。
< 99 / 191 >

この作品をシェア

pagetop