恋文
君は嘘をつくのが下手くそみたい。
あの人は、「僕」なんて言わないし、何通目かの手紙で「僕」って言われたときは驚いたよ。
あぁ、この人はカマをかけているのかな?ってね。
でも、違ったみたい。
私の上手な演技で、翻弄されている君を一度でいいからこの目で見てみたかったな。

さて、私はもう駄目みたいです。
でも、この3ヶ月間はすごく面白かったよ。

君が帰った夜も、毎夜君のことを想像するんだ。
あの人はどんな顔だろう?
あの人の目はどんなだろう?
ってね。

本当に短い3ヶ月だったの。
あなたにとっても、それは同じでしょ?

それに、あの人と海に行ったことは一度もなかったから、初めて行けたのが君で良かった。最後に会えたのが君で良かった。

今まで涼しい顔をしてたけど、あなたにとってはなんてことない日常でも、私にとっては世界がひっくり返るような大きな事ばかりだったの。

もうどうしようもないのに、死にたくないなんて思ったから、全部あなたのせいだよ。
< 18 / 19 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop