恋文
僕は家に帰る。
帰りの路地を歩きながら、僕は考える。

このまま彼女が死ぬまで、偽物の彼氏として過ごすつもりか?
せめて、彼女に本当のことを言うべきなんじゃないのか?

待て、と、もう一人の僕が囁く。

もし今伝えたらどうなる?
彼女はどんな思いをする?
愛する人に捨てられ、最も信頼していた人間に裏切られ。
彼女は一体、何を思う?

僕は考えるのをやめる。
逃げるように、家に入り込む。
< 9 / 19 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop