まさかあなたが私に恋をするとは


なぜだろう。
私何かしでかしてしまったんだろうか。

まさか。
実はバド部の後輩の女の子の
お兄ちゃんで、
私にしごかれたと妹が家で愚痴たれ
その復讐でもするつもりなんだろうか。

だとしたらなんという悲劇。

部活に打ち込んでいるだけなのに。


そこまで被害妄想を膨らませたところで
うみが私に問いかける。


「河野くんに、連絡先…
教えても大丈夫かな。」


「ん、んー……」


「だってゆきの、考えてみて。
ゆきのがダメだって言ったらうちら
河野になんて説明したらいいの…!」


そうか、そうだ。

2人がそれでクラスで気まずくなるのは
とてもとても申し訳ない。

ならばおとなしく私が
河野くんにしばかれて……


「もしかして、河野くん。
ゆきののこと好きなのかもね?」


「…はい?」


コウノクン?
ワタシノコトスキナノカモネ?


「いや、ないないない。
あの人にはみやびちゃんみたいな人が似合ってるでしょうよ…」


みやびちゃんというのは、
C組の少し派手めな女の子だ。

ちゃらちゃらしているものの、
ものすごく美人で性格もいい。


「…と、とりあえず。
連絡先教えといていいから
このことはまた今日の放課後にでも話そう」


「あっ!そうだよ。
今日四人でマックとオケ行こうと思って」


「賛成!
うち新しく出たフルーリー食べたかったんだよね〜」


「あたしも!
じゃあまた連絡来たらすぐグルチャで報告しなよ!ゆきの!」


「りょ、了解……」


私の頭の中はバドミントンのラケットで
河野くんにおいかけまわされる
惨めな私の姿の妄想でいっぱいいっぱいになっていた。

一体私に何の用なんだろう…。
< 6 / 13 >

この作品をシェア

pagetop