コモラとモモラ


「では、六年を迎えた『モモラ.カルディシュ』に王卵を授ける。」


なにやら難しい挨拶をする、教会の信徒。



私は、紋章が所々に入った、紅色のカーペットが敷かれている台に登る。



わあっと歓声があがった。

台に登れるのはこの、王卵継承の時だけだから。


だけど、写真やビデオ、それに、並べられている料理なんかも。

撮っちゃいけない、食べちゃいけないの。


目でしか見られない、ということね。


信徒が、赤紫の布に包まれた、王卵を私に手渡す。


ずっしりとした重みがした。

ここに、私のドラゴンが入っているんだと思うと、気持ちが引き締まった。
 

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