イジワルなカレの愛情表現
プロローグ【はじまりの?キス】
「じゃあ俺に尽くせよ」


腰に回された腕に力が入った瞬間、瞼を閉じる間もなく唇を塞がれてしまう。


薄暗く埃っぽい資料室で鼓膜を刺激しているのは、お互いの甘く漏れる吐息だけ。

顎に添えらていた長い指が、強引に口内に侵入してきた。


「もっと口開けろ」

「そんなっ……」


至近距離で囁かれた声にゾクリと身体が震えてしまう。

抵抗してもビクともしなくて、いとも簡単に唇を奪われていく。


苦手な人、できれば関わりたくない人、全然タイプじゃない人。……だったはずなのに、どうして私――……。



舌が巧みに口内を弄んでいくたびに、意識が朦朧としていく。


彼のキスにもっと溺れていたいと願ってしまうほどに――……。
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