イジワルなカレの愛情表現
永瀬さんとふたりで食事に行った帰りはここまで送り届けてくれていた。


マメな人だよね。ただからかっているだけなのに、わざわざ送ってくれていたなんて。


そういった優しい一面にも惹かれてしまったのかもしれない。


トボトボと人もまばらなホームを抜け、改札口へと向かっていく。


永瀬さんに〝好き〟って伝える前に、真実を知ることができてよかったのかもしれない。


このままズルズル時間を共有していたら、もっと私は永瀬さんのことを好きになってしまっていただろうし、永瀬さんだってからかっていた相手に、本気の告白なんてされても、困るだけでしょ?


いや、してやったりだったかもしれない。


遊びで私に近付いてきたのかも。だとしたら最低だよ。山田さんって人がいながら、仕事帰りに食事に誘ったり、思わせぶりなこと言ってきたり、あんなキス、してきたり。


悔しくて許せないって思うのに、胸が痛んで仕方ないのは、真実を知ってしまった今も、永瀬さんのことが好きだからだ。


いつもだったら振られてもすぐに切り替えられるのにな。

予想通り、相手が永瀬さんだとそうはいかないようだ。


「私、これからどうしたらいいのかな」
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