イジワルなカレの愛情表現
さすが山口室長だ。
休憩時間に呼び出され、理不尽なお願いをされたというのに、嫌な顔ひとつしないなんて。


尊敬の眼差しを送ってしまっていると、山口室長は少しだけ困ったように顔をしかめた。


「休憩時間だからプライベートな話の続きをさせて」

「――え」


「永瀬のこと。……これでもあいつとは長い付き合いだから。もし、なにか困ったことや悩んでいることがあったら、遠慮なく頼ってくれていいからね」

「山口室長……」


優しい言葉に、鼻の奥がツンとしてしまった。


「永瀬には担当が代わったこと、俺の方から言っておくから」

「……ありがとうございます」


山口室長には頭が上がらないよ。


「さて、と。前島さん、お昼まだでしょ? よかったら一緒にどう?」

「え、でも……」

「ひとりで食べても美味しくないし。たまには上司のわがままに付き合ってもらってもいいかな?」
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