イジワルなカレの愛情表現
「永瀬、勝手に決めないでくれるかな?」


半ば呆れ気味に溜息と共に吐き出された声。けれど永瀬さんは動じることなく、淡々と飛んでもないことを話していった。


「勝手もなにも、取材されるのは俺だろ? だったら取材する奴を選ぶ権利がある」


一呼吸置くと、鋭い眼差しをふたりに向けると、すぐにまた私を見下ろしてきた。


「あんたの抱えている仕事は、後輩思いのあのふたりに代わってもらえばいい。……俺の言っている意味、山口なら分かるだろ?」


肩越しに背後にいる山口室長に意味ありげな視線を向ける。


目で会話をしているのか、首を傾げる永瀬さんに背後から「分かったよ」と、半ば諦めにも似た声が聞こえてきた。


「よし、決まり。詳しいことが分かったらすぐ連絡してくれ。こっちも色々と忙しんでね」


なにがなんだか分からずの私を置き去りにして、永瀬さんは颯爽と去っていく。


途端に西垣さんと目黒さんが、山口室長に詰め寄った。


「ちょっと山口室長! どういうことですか、これは!!」

「どうして私達が前島さんの雑務を、引き受けなくちゃいけないんですか!?」


オフィス中に響く甲高い声にハッと我に返る。

「いや、それは……」
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