イジワルなカレの愛情表現
大きく響くドアの音に、身体は反応してしまい咄嗟にドアの方へ視線を向けた瞬間、目を疑ってしまう。

動きは止まってしまい、食い入るようにそこに立つ人物を見つめてしまう。


「……永瀬……さん?」


ドアに手をつき、走ってきたのか肩で息をする姿に息を呑む。


どうして永瀬さんが? それに走ってまで来るなんて……。


あれほどどんな顔をして会えばいいのかと悩んでいたというのに、突然現れた彼に動揺を隠せない。


すると永瀬さんは呼吸を整えるように大きく深呼吸をした後、鋭い視線を私に向けた。


「おいこら、どういうことだよ。記事の担当が山口に代わるって」


そう言うや否や、大股で真っ直ぐ私の元へと駆け寄ってきた。
そして威圧的な態度で見下ろしてくる。


「それは……」


予想外な反応に言葉が出てこない。


なぜ永瀬さんは怒っているの? そんな余裕なさげなの? ……悲しそうなの?


彼の真意が分からなくて、凝視してしまう。


そんな私に痺れを切らしたように、舌打ちすると、走ったせいで乱れてしまった前髪をかき上げた。


「意味分からないんだけど。お前って途中で仕事を投げ出すようなやつだっけ?」
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