イジワルなカレの愛情表現
その理由が聞きたくて声をかけるもすぐに遮られてしまい、永瀬さんは迷いなく店内に入っていく。

すぐに店員が駆け寄ってきたけれど、永瀬さんは「待ち合わせているから」と言い、店内を見回し始めた。


待ち合わせているって、誰を探しているんだろう。


つられるように店内を見回してしまっていると、永瀬さんが「いた」と呟いた。


その視線の先を辿っていくと、視界に飛び込んできたのは、私達ふたりを見て驚き固まってしまっている、山口室長と山田さんの姿。


「え、山口室長……と山田さん?」


ふたり同様、私もびっくりしてしまう。
通常運転なのは永瀬さんだけ。


私の手を握ったまま、迷うことなくツカツカとふたりが座る席へと足を進めて行く。


そして席の前で立ち止まると、いまだに唖然と私達を座ったまま見上げるふたりに、苛々した様子で話し出した。


「おい山田! お前のせいで柚香に変な誤解を与えちまったじゃねぇか!」


え、なに誤解って。


「はぁ? なんで私のせいなのよ」


永瀬さんに罵声を浴びせられ、山田さんは不服そうに顔をしかめた。
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